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※Amazonより引用
俺はけだもの同然、人間の形をしたゼロだった。師匠に拾われ、誰一人なしえなかったことをやってのけた。各地を巡業し、人々を魅了した…。20年代を背景に“空飛ぶ少年”の飛翔と落下の半生を描く、ポール・オースターのアメリカン・ファンタジー。
『幻影の書』『ティンブクトゥ』につづいて、オースターは3冊目。『ティンブクトゥ』では珍しくぼろぼろ泣きましたが、この本はそれとはまた違った、じんわりとした良さがありました。
ある少年の成長と、凋落と、再生を描いた物語。
「空を飛ぶ」というファンタジーに、人種差別問題やKKK、世界恐慌に世界大戦と、実世界の出来事を絡めた展開が持ち味です。
少年・ウォルトのなまりのある語り口は『ハックルベリー・フィンの冒険』を髣髴とさせる、無知に皮肉をきかせた饒舌なもの。オースターを読んでいると、語りのもつ魔力に毎回圧倒され、気づけば(巧い…)と唸っています。
柴田元幸さんの翻訳も相変わらず癖なく美しく、翻訳ものの嫌味が全くありません。翻訳に苦手意識がある方にもおすすめ。
まだ3冊読んだきりですが、オースターは弱者に対する目線が優しく(決して同情的いう意味ではなく)、人の愛しさと悲しさを表裏一体に描くのが上手い作家だと思います。
人生の厳しさに対する静謐なまなざしもまた、魅力のひとつ。
オースターは上手くいけば今年中に読みつくす予定。
次は『シティ・オブ・グラス』に進みます。
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幸福を求めて
幻滅の書
おとぎ話と人生:二種類の「不思議」の衝突

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